今回はドゥカティ モンスターのサスペンションセッティング方法をご紹介したいと思います。
あくまで、私のサスペンションに対する考え方とやり方になります。
私のサスペンションセッティングの考え方は出来るだけサスペンションを良く動かすことです。
良く動くサスペンションは乗りやすく、曲がるようになると考えております。
そのため可能な限りプリロードは抑えたセッティングとなります。
それでは早速作業方法に入りましょう!
サスペンション各部の確認
まず、最初に各部のダンパーを確認します。
フロントフォークプリロード及び伸び側ダンパー(リバウンド)
基本的にはこの6か所を調整するわけですね。
後は前後の車高調整があります。
車高については標準値から始めるのが無難だと考えます。
リヤサスペンションは見た目の良さと交換したら曲がるかも?と言う期待で中古のオーリンズを装着しました。
結果はオーリンズを装着したからといって大きくフィーリングが変わることはありませんでした。
しかし、細かい調整が可能なこととオーバーホールできるお店が多いことなど、長期的なセッティングやメンテナンスを考えるとお得だと思います。
次から具体的な作業になります。
サグ出し
サスペンションセッティングを考えた人ならおそらく一度は聞いたことがあると思います。
サスペンションが1番伸びた状態に対して1Gの荷重で沈み込んだ状態の調整です。
下記はオーリンズのサグ出しのマニュアルです。 参考までに。
難しい言葉が並んで意味が分かりにくいですが、運転手が乗った時のサスペンション初期の沈み込みの量を調整する作業です。
私はサスペンションセッティングのスタートラインを決める作業だと思っております。
人それぞれ体重が違うわけですからこれを調整しないとどこから手をつけたらいいのか分かりません。
これを前後サスペンションの全ストローク量の30%くらいになるようにプリロードで調整致します。
- フロントサスペンション
フロントスタンドなどを使用しタイヤを浮かせた状態(サスペンションが伸びきった状態)でフロントフォークの定点間の距離を測定する。
私はフロントフォークアンダーブラケットとインナーフォークブラケット間で測定しました。
この数値が350mm。
次に乗車し先程と同じ定点間を測定。この数値が315mm。
350mm – 315mm = 35mm
私のモンスターフロントフォークのストローク量はマニュアル記載で130mmです。
35 ÷ 130 = 0.269 27%で大体30%なので良しとします。
厳密に30%付近にする場合はプリロードを緩めて調整します。
2. リヤサスペンション
リヤ廻りをタイダウンベルトで吊ってリヤタイヤを浮かせます。
これでリヤサスペンションが1番伸びた状態になります。
こちらは実測できないのでマニュアル記載のストローク量148mmを使用します。
ちなみにマニュアルでは曖昧な表現でどこの測定値か明確ではありませんが、私はリヤホイールナットとキーシリンダー上のリヤフェンダー間で測定しました。
この数値が480mm
乗車しての数値は447mm。
480mm – 447mm = 33mm
33 ÷ 148 = 0.222
リヤは22%で30%には全く足りませんがプリロードが最弱のためこのまま進めます。
厳密に30%にしようとするとリヤの車高を下げるかスプリングを柔らかい物に交換するかになります。
これでサスペンションセッティングの下準備は終了です。
後はフロント、リヤの伸び側及び圧側のダンパーで調整していきます。
伸び側ダンパーの調整
サスペンションセッティングサグ出しで下準備が終わればいよいよ走行しながらの調整です。
調整場所は走り慣れたツーリングコースやワィンディングロードなど、緊張せずに楽しく走れる場所が良いと思います。
必ず、初期値をメモし、調整後の数値もめもして確認できるようにしましょう。
サスペンションセッティングに行き詰まった時は初期値に戻し確認すると今のセッティングが合っているのか間違った方向に進んでいるのかを確認できます。
まずはフロント、リヤ共に伸び側、圧側ダンパー最弱で走行します。ダンパーが効いてないので無理な走りはしない。
その感覚を覚えた上でフロント、リヤの伸び側を真ん中の位置まで締める。
私のセッティングでは伸び側ダンパーを中心にセッティングしていきます。
伸び側を調整すると圧側も固くなるようで、圧側は最終調整で触ります。
例、10段階のダンパー調整が可能なら0で一度走り、次に5までダンパーを締めて走ってみる。
この感覚も覚えておき、リヤの伸びダンパーから本格的に調整していきます。
私は車重の多くを支えているリヤサスペンションのセッティングが重要だと考えています。
コーナーでふわふわしない程度に伸び側ダンパーを緩めて、倒し込みが重いと感じない程度に締める感覚で調整します。
モトフリークさんの受け売りですが私はこの感覚で調整を進めております。
リヤの伸びダンパーがある程度決まったらフロントの伸び側ダンパーを調整していきましょう。
直ぐにベストセッティングは出ませんし、その日の乗り手のコンディションによっても感覚が違ってきます。
必ずメモを取りながら進めていきましょう。
私がやったサスペンションセッティングの事例も載せておきます。
- 一次旋回が重い
- ハンドルが切れ込む
- バイクが寝ていかない。
- 二次旋回は比較的良好
- コーナーの早い段階からアクセルが開けられる。
侵入スピードが遅いためアクセルが開けられる可能性あり。
上記の内容ですが一次旋回に問題がありました。
ブレーキング時にリアサスペンションが伸びるスピードが遅く、フロントサスペンションの上手く沈み込んでいないのでは?と考えました。
そこでリヤサスペンションの伸び側ダンパーを4クリック緩めて再度走行。
一次旋回の重さ、ハンドルの切り込み、バイクが寝ないが改善。
二次旋回は良好のままでした。
私のサスペンションセッティングの感覚としては不満に思っている部分を不満に思わない程度まで調整出来ればまずは合格だと思っております。
そのため長所を伸ばすより短所をなくすように心がけてセッティングしております。
サスペンションセッティングの準備
順番が前後しているかもしれませんがサスペンションセッティングを進める上で下記の内容は必ず行って下さい。
これがしっかりしてないといつまで経ってもセッティングが出ません。
- タイヤの残量がしっかりあり、経年劣化による硬さがない。
- サスペンションの状態が良い。(メンテナンスがされている)
私はこれができていなかったせいでなかなかセッティングが出ませんでした。
具体的に言いますとリヤサスペンションは中古のオーリンズを入れる時にオーバーホールしたものを装着しました。
フロントサスペンションは漏れがなかったためそのままセッティングしていましたがなかなか思うような結果で出ない状態でした。
そこでフロントフォークのオーバーホールをした結果、驚くほど良く動くサスペンションになり一気にサスペンションのセッティングが進みました。
2年に一度はフォークオイルを交換したいところです。私は純正より少し柔らかいオイルを使用しています。 - ステムベアリングの摺動状態(ベアリングの状態)やサスペンションリンクやスイングアームのピボット部のグリースアップ。
盲点になりますがステムベアリングが固着気味だったり、サスペンションリンクのグリース切れなどでバイクの関節の動きが悪いと結果的にサスペンションの動きが悪くなります。 - ステアリングダンパーの有無
私も始めは装着しておりましたが、フロントの動きの抑制になるため外しました。
影響は少ないかもしれませんが、出来るだけ減衰ダンパーを抜くかオーリンズなどの摺動が良いステアリングダンパーにしましょう。
コメント