倒立フロントフォーク オーバーホール (SHOWA)

モンスター1000S

フロントフォーク取り外し前の準備

去年から計画していたフロントフォークのオーバーホールを行いました。

オイル漏れはなかったのですが、ダストシールにヒビ割れが有り、そろそろオーバーホールの時期だと考えていました。

一度やってみたかった作業なので挑戦です。

ちなみに私のドゥカティはSHOWA製のフロントフォークです。

まずは、フロントフォークを取り外す前に準備を行います。

  • 現状のサスセッティングの状態をメモしておく。
  • イニシャル調整(プリロード)、伸び側ダンパー(リバウンド)、圧側ダンパー(コンプレッション)を最弱にしておく。

倒立フロントフォークの取り外し

  1. リアスタンドでリアを持ち上げ、バイクを水平にする。
  2. キャリパー、フェンダーを取り外しフロントスタンドでフロントを持ち上げる。
  3. ホイールを取り外す。
  4. トップブリッジのフロントフォークを固定しているクランプボルトを緩める。
  5. フロントフォークトップにある32mmのフォークキャップを少し緩めておく。
    フロントフォーク取り外し後だと緩めるのが大変です。
    私はフォークキャップを緩めるためにハンドルを外しました。
  6. ステム下のクランプボルトを緩めるとフロントフォークが外れます。
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スプリングスリーブの押し下げ

取り外した状態です。
ここから自宅内で作業しました。

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室内を養生して作業を行います。
ラップでタンスもコーティングしております。

てこの原理を使ってスプリングスリーブを押し下がる場所がここしかありませんでした。


ここで自作の特殊工具の登場です。
ネット検索で参考にして、この形状でいくことにしました。

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コーナンの端材売り場にあった1本100円の木材にM8のボルト、ナットを取り付けてあります。
高さ調整可能な端材で作った台にのせます。

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1番上の板の真ん中に9mmのドリルで穴を開けてあり、そこにヘキサゴンのソケットが挿してあります。
これで、サスがずれないようにしました。

フォークキャップを外します。

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1番の難関が出てきました。

メインイベントのスプリングスリーブです。
これを押し下げる必要があります。

特殊工具&タンスを使ってスプリングスリーブを押し下げます。

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1人作業のためブロックとタイダウンベルトでスプリングスリーブを押し下げた状態で固定。

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ブロックは下駄箱の柱で使用しているものを使用。
そしてフォークキャップの取り外し。

フォークキャップはダンパーロッドにねじ込まれており、外れないようにロックナットで固定されています。

ロックナットを緩めフォークキャップを取り外す。

ロックナットの取り付け位置を覚えておく。
この位置が大きく変わると減衰圧に影響があるようです。

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フロントフォークの分解

スプリングスリーブ、スプリングを取り外してフォークオイルを抜きます。
ダンパーロッドを動かしてできるだけオイルを抜きました。

すごい色になってました。

次にダストシールをマイナスドライバーなどで外します。

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ダストシールの奥にはまっているロックピンも外します。

次にアウターチューブをしっかり持ち、インナーチューブを強く何回か引っ張るとアウターチューブとインナーチューブが分解できます。

今回ダンパーASSYは取り外しておりません。

分解した状態です。
オイルシール、スライドメタル等は取りついていた順番で並べておきます。

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オイルシールの交換

インナーチューブに点錆が結構あったため、耐水ペーパー#1500で磨いておきました。
磨く時は上下には絶対磨かずに横方向で磨きます。

今回はSKFオイルシールの黒色を使用しています。
SKF品番: KITB-43S

オイルシールとダストシールのセットです。
左右交換の場合は2セット必要になります。

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評判が良いので購入しましたが、取り付け後にすぐ漏れたとの口コミもありどうなるかが少し心配です。

オイルシールの経費を押さえたい方にはARIETE (アリート)のフォークシールがおすすめです。
アリートフォークシール品番: ARI053 (左右セット)

※アリートでは上記フォークシール対してのダストシールは設定が無し。
 調べてみるとアリートダストシール品番:ARI119 (左右セット)がおそらく使用可能だと分かりました。
 実際に取り付け確認していないため使用される場合は自己責任でお願いします。

サランラップを巻いてオイルシールのリップ部を傷付かないようにします。

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サランラップ、インナーチューブにシリコングリスを塗り、ダストシール、オイルシールのリップ部にも同じくシリコングリスをたっぷり塗ります。

順番はダストシール、ロックピン、オイルシール、ワッシャー、スライドメタルです。

挿入後にサランラップを取り外して、インナーチューブにもスライドメタルを取り付け、アウターチューブに取り付けていきます。

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ストレートで購入したオイルシールプッシャーでオイルシールを入れていきます。
オイルシールが入ったらロックピン、ダストシールを入れます。

フォークオイル粘度の選定

ドゥカティ モンスターの指定フォークオイルはシェルアドバンスの7.5Wになります。

しかし7.5W単体では販売がないため5Wと10Wの2本を購入し混ぜ合わせる必要があります。
ちなみシェルアドバンス7.5Wの粘度は下記になります。

そのため粘度表を参考にしながら少し柔らかめの粘度になるヤマハのサスペンションオイルM1を選定しました。
サスペンションオイルを柔らかくしてよく動くサスペンションにしたい狙いがあります。

他サイトからお借りしましたフォークオイルの粘度表です。

フォークオイルの注入

フォークオイルを入れエア抜きをしていきます。
今回の使用オイルはヤマハサスペンションオイルM1です。


100円ショップの計量カップ使用し、モンスター1000の規定量465ccを入れていきます。

他モデルのオイル量は下記になります。
あくまで参考値です。

最終は油面で調整しましょう。(ドカ雑誌調べ)    

  • モデル          年式       オイル量    
  • M400          95-98/00-03     380cc 
  • M400(インジェクション) 04          440cc
  • M900          93-99         457cc  
  • M900(インジェクション) 00-02         465cc
  • M900(IE・S4フレーム)  02          410cc
  • MONSTER S4       01-03         492cc
  • M1000          04           465cc (←マニュアル調べです)
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エア抜き手順

  1. アウターチューブのストロークを10回
  2. ダンパーロッドのストロークを15回
  3. 再度、アウターチューブのストロークを10回

ダンパーロッドは早く動かすとオイルが吹き出るので注意が必要です。
何回か吹き出しました。養生していて良かったです。

フォークオイル油面調整

ホームセンターコーナンで入手しました¥200くらいのスポイトとタイラップを使用します。

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油面はスプリングなしの状態でマニュアル通り104mmに合わせました。

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フォークキャップの組み付け

油面調整が完了したので組み付けです。

ダンパーロッドを引き上げれるように配線コードを結んでおきます。

スプリングスリーブを取り付け、押し下げます。

配線コードを引っ張りダンパーロッドにフォークキャップを取り付けロックナットで締め付けます。

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一度押し下げる時に工具が外れたので、角材が開かないようにこの字の木材を追加しました。

なんとか左右組み終わりました。

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後は車両に装着して終了です。

車両への取り付けは下記をご参考下さい。

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驚くほどにスムーズに動くようになりました。

エンジンオイルと同じように定期的に交換が必要だと再確認できました。
2~3年もしくは10,000kmに一度は交換したいですね。

モンスター1000S
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コメント

  1. 荻沼 晃 より:

    こんにちは。ブログを拝見しました。SS1000DS乗りです。
    フロントフォークのOHをやろうと思い色々と調べております。
    一つ教えて頂きたいのですが今回のブログではプリロード、リバウンド、コンプレッション共に最弱からバラされてますよね。人によっては最強にする方もいる様で悩んでおります。どちらが良いのかアドバイス頂けると助かります。
    組み方によってアジャスターが動かなくなるみたいでビビってます。何回か正立、倒立共OHはやってますがアジャスター付きは初めてなのでご面倒でなければ教えて下さい。よろしくお願い致します。

    • YASU より:

      荻沼様

      ご質問ありがとうございます。
      私もプロではなく素人のため間違っている可能性はございますがご回答させて頂きます。

      まず、プリロードに関しましてはスプリングの負荷を最弱にすることでフォークキャップの取り外し、取り付けが容易になると考えます。
      フォークキャップとダンパーロッドはロックナットで固定されているためプリロードが最弱でなくても飛び出すことはありませんが負荷が少ない方が作業性は上がります。

      次に各アジャスターについては最弱、最強どちらでも作業は可能だと思われます。
      構造上、締めこむと先が鉛筆のように尖ったインナーロッドが奥に入り油路が狭くなり減衰力が強まります。
      また、緩めるとインナーロッドが手前に動き油路が広くなり減衰力が弱まります。
      そのため奥に入り過ぎて、底付きしてしまうとロッドの損傷、最悪は動かなくなると考えます。

      そうならないように最弱で作業する方がリスクは少ないように思います。

      インナーロッドの位置決めはロックナットのロック位置で決まりますが、これが極端に分解前と違うと正しく組み付けしても減衰力の左右差が出たり、最悪は底付き等の問題があるかもしれません。

      本来は取り付け位置を測定し組み付けるのが正しいはずですが、私はロックナットを緩めた後、出来るだけロックナットが移動しないようにして大体同じ位置にして復元しました。
      インナーロッドが一番奥の位置になる締めこんだ状態(最強)で先端が底に当たる位置でロックナットを調整する方法もあるようですが正解かは不明です。

      以上のことからロックナットの取り付け位置が変わらなければアジャスター位置は最弱、最強でも動かなくなることはないと思います。

      ご質問頂きました回答になっておりませんがご参考になれば幸いです。

      • 荻沼 より:

        YASUさん、丁寧にありがとうございました。構造が理解出来ました。教えて頂いた事を参考に作業してみます。
        お忙しいところ大変助かりました。ありがとうございました。

        • YASU より:

          萩沼様

          経験したことと調べた内容でしかお答えはできませんが、同世代ドゥカティの同じDSエンジンですのでこれからもよろしくお願い致します。

  2. ドカモン3325 より:

    いつも参考にしています。ありがとう御座います!私もモンスター1000Sに乗っています この度フロントフォークオーバーホールしました!ずいぶん参考になりました。次回のオーバーホール時はスライドブッシュ計4点を交換する予定でいます。国内パーツでの流用品があれば教えてもらえますか?よろしくお願いします!

    • YASU より:

      ドカモン3325様

      コメントありがとうございます。素人整備ではございますが参考頂きまして幸甚でございます。
      国内パーツ流用の問い合わせですが、やはりベアリング関係が多いですね。純正品はSKFですが、互換品でNTN製品を使用することが多いです。
      後は記事でも確認頂けますがブレーキマスターシリンダーはヤマハのセミラジアルを流用しております。
      その他、他国産モデルの流用はなかったと思います。
      やはり純正品が高額なので、可能な限り国内で入手可能な互換製品を探して作業しております。

      何か、流用情報等ございましたらご教授下さい。